:::: ラストシャフル :::: 劇団6番シード第23回公演 池袋演劇祭参加公演
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― まず久間さん2年ぶりの新作ということですが、現在の執筆状況はいかがですか

久間 いきなりそんな質問ですかあ!?(笑)

― 役者もお客様も一番気になるところですからね。

久間 そうだよねえ。えっとね、気持ちはのってます。今からでもすぐ帰って書きたいっていうくらい(笑)。


― じゃあ今は書くのが楽しいという感じなんですね。

久間 そうね。手前味噌になっちゃうけど、昔書いた作品も好きな話が多いんですよ。でもやっぱりそれぞれの作品で差はあるのね。自分がその物語を書き進めていく上で、どんどんキャラクターとか、ストーリー展開とかが好きになっていって筆が進む。逆だとちょっと筆が止まったりとかね(笑)。そういうのはどうしてもあるわけで。でも今回はなんかここへきてすごく楽しい。だからノッてるって、そんな気がしますね。

― 今回の作品のテーマ、お客様に伝えたいことは何ですか。

久間 基本的にはメインのキャラクターが三人いて、どちらかというと人生に挫折しているというか、つまづいている人たちなんです。そういった弱さを持った人たちの“負け犬の遠吠えが、観る人の心を癒してくれる”っていう、そこの所かな。人生ってそういう部分があると思うんですよね。今まで生きてきてつくづく感じるのは、なかなか自分の悪いとこって直せなかったりするじゃないですか?人を見ているとさ、「あいつもあそこを直せばいいのにな」なんて簡単に言うんだけど、多分その本人もそれは分かってて、でも出来なくて同じ失敗を繰り返してる訳で。
そういう人間の可愛らしさや愛おしさってものがありますよね?そういう部分がこのストーリーのいわゆる「負け犬の遠吠え」みたいなところで、でもそれが見る人の心を癒してくれるような、共感を持っていただけるようなものになればいいな、と思っています。

― 2年ぶりということですが、演出方法で変わったところ、変えたところはありますか。

久間 お客様に分かって欲しいことをまずは役者に分かって欲しいっていうところから始まるんですよ、いつも大体。だからそういう意味では変わっていません。
役者に分かってもらって、それをしっかりお客様に伝えてもらう。まだ今の段階は、自分の演出のリハビリというのもありますね。身体もずっと動かさないと堅くなっちゃうように、演出の感も同じで、それを徐々にほぐしていくつもりで、焦らずにマイペースでやってます。もちろん後半はそれを取り戻してやっていきますけど。それまでは役者の許しを得て、というか勝手に甘えてやっています。

― 2年前と現在ではだいぶメンバーが入れ替わっていますが、昔受けていた刺激と今は違う刺激だったりしますか?

久間 それは毎回ありますね。あまり記憶力がないんで(笑)昔のことは結構忘れちゃってるけどね。役者さんが、期待したものと違うものを持ってきてくれて、それがすごく刺激になるのはありますね。
昔と変わったっていうと、例えば荒木君みたいなタイプは今までいなかった。あんまり器用じゃないよね。でも今までのメンバーと全然タイプが違うから、こっちも別の広がりを持たせられたらなあ、なんて思ったりします。役者さんに刺激を受けることは多々ありますね。メンツがかわればそれぞれ刺激もかわりますよ。稽古も演出家が触発されてかわったりね。

― 今回のセットはどんな感じですか。

久間 冒頭のシーンは真夜中で、その後朝になるんだけど、そういう時間の変化や空気感みたいなものを光で表現できたらいいなあ、と。ストーリーが転がって時間が経過していくことによって、セットが見る人の心に影響してきたり、作品の世界を変えていってくれることを期待しています。セットというか照明だね(笑)。

― では、今回のチラシを初めて見た時の印象はどんな感じだったんでしょう?

久間 いろんな見方はあるんだろうけど、最初見たときに「ん?」と思ったんだけど、ずっと見ているとだんだん味が出てくるっていうか・・・

― イメージどおり?

久間 イメージどおりっていうとね、ぱっとみたときに「お!これだよ」っていうのが普通だよね。だけど、「ん…(間)ん…(間)イメージどおりだよ!」って感じ。(間のとき久間氏の表情がみるみる変化していますが、活字ではお届けできません。ご了承ください)だからじっくり見ていただきたいですね。本当にシンプルな絵なんだけどね。チラシって、目にした瞬間に一発で飛びつくものじゃなきゃダメだって思ってきたんだけどね、でもやっぱりこれはいい。とにかく、足と後姿が好きですね。

― 舞台を見終わった後にもう一回見ると何か感じてもらえそうですよね。

久間 そうそう、そのとおり。いいこというね(笑)!


― 今回は、作品の中に、地元の草野球チームが出てくるという事なんですが、チームの名前は何というんですか?ちなみに、由来は?

久間 イールス(eels=うなぎ)
。一応ね、台詞の中に「つかみどころのないチームを目指す」ってのがあってね。

― 「つかみどころのない」って野球チームが目指すのものなんですか!?(一同、総ツッコミ)

久間 いやいやいや、監督が鰻屋でね、どうしてもイールスってつけたかったんだよ。で「なんでそんな名前なのか」って言われたときに、

― 「つかみどころのないチームを目指す」ですか(笑)。なるほど、じゃあそんな「つかみどころのないメンバー」が出てくるわけですね。

久間 本当はもっとたくさんメンバーがいるんだけど、実際芝居に出てくる3人って言うのは、商店街のドラ息子たちなんですよ。まじめに働けば忙しくって野球なんてやっていられないんだけど、うつつを抜かしているような3人。それと私設応援団の女の子達ね。

― 今回は、物語の舞台が「下町」ということですが、久間さん自身は下町に対する憧れをもってらっしゃるんでしょうか?

久間 私は下町の人間じゃないんですけど、勝手に思っている下町の人のイメージがあって、それはもちろんポジティブなね。一人一人は、それこそ立派でも何でもない普通の人なんだけど、みんなが集まったときのパワーっていうのかな。多分ね、一人一人はいろんな弱さとか欠点を持っていて、でもその人たちのいい面を集めて、凝縮していって、いわゆる「下町」っていうエリアのパワーというか、良さがガーッと前面に出てきてるのが、僕達が憧れている下町だと思うんです。まったく他所からきた僕達みたいな人間が下町のそういった良さを勉強させてもらうというかね、説教臭い説教されているんじゃなくて、いっぱい影響を受けていくって言うのかな。そういうのを描けたらな、と思ってます。メインの3人のキャラクターは、そんな下町にポンとある意味放り出されるんだけど、押し付けがましい説教とか、次元の高い人たちからの何かで変わっていくんじゃなくて、弱さを持った同じ人間の生活の営みの中に何かを見出していけたらいいなと思ってます。あんまり言うとネタバレになっていくからこの辺で勘弁して(笑)。

― まだ大丈夫ですよ。では、今作品は一言でいうとどんな作品でしょうか?

久間 うーん、「静」かな…

― え?今のところ静かじゃないですよね!?役者汗だくですけど?

久間 目指すものは、静かな、しっとりとした、

― きっと後半しっとりするんですね。

久間 最初からしっとりしちゃうのもねえ。最初はお客様に「なんだろうな」って思って欲しいし。年齢関係なく、若い方でもご年配の方でもしっかり楽しめる、そういうものを目指しています。

― では、最後にお客様に一言。

久間 やさしい心でみてください(笑)。