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 「電撃の100幕劇を」

一幕劇を身上としてきた私としては、この「100幕劇」という言葉が思いついた時、新しい何か、とはいっても今まで培ってきた様々なものを生かした何か、が生まれる予感がしました。
と同時に、今回は作品の舞台を「新宿」に置きました。
個性豊かな登場人物が、0時44分の終電車目指して巨大な新宿駅を疾走する、そんな画が最初に思い浮かんだのです。
いざ実際にある(しかも有名な)地名を使って作品を書き始めると、今まで空想に任せて書いてきた(過去の作品の地名はすべて架空です)ものとは違う難しい作業になりました。
東京で暮らしている方なら少なくとも一度は訪れたことのある街、新宿。
田舎者の私が上京して初めて新宿を訪れた時、「今日は一年に一度の祭りがあるのかな」と思ったほどの人の量(平日の夜でした)、歩道が満員電車かのごとく、そしてその人の波はどこまで行っても衰えない、そんな(田舎者にとって)怖い街、新宿。
その街で起きた物語を描こうと思った時、物語として劇的で荒唐無稽であっても、この物語をご覧になった方がその後新宿を訪れた時、「ああ、ここであの物語が起きたのか」と想像してほくそえんでもらえるような、そんなリアリティのある作品にしたいと思ったのです。
とはいえ、ダイナミックに劇的に、という線も外したくない。
その狭間で迷う日々が続きました。
 そこで私は実際に新宿を隅々まで歩いてみることにしました。
大江戸線の改札から南新宿のはずれに出て、そのまま小田急線南新宿駅方面へ。
「おお、新宿駅の近くに踏み切りがあるのか」と、案外すぐ庶民的な町並みになります。
巨大ステーション新宿駅の隣駅とは思えない、小田急線「南新宿駅」。
普通の民家が並び、南新宿町内会という掲示板なんかもある小道の背景に巨大な都庁がそびえ立つという不思議な光景。
そのまま都庁前へ。
これはもうチョコレートにしか見えないような巨大西口ビル群。
日曜日なので人影もまばら。
一気に無機質で近代的な街並みになります。
そしてそのまま新宿駅を抜け東口へ。
そこには上京したてに驚愕した、人、人、人!
アルタ前を通り(さすがにこの辺りは私も何度か来たことがあります)歌舞伎町へ。
日曜日の昼間の歌舞伎町。
キョロキョロしていると客引きのおじさんが「カモねぎ」とばかりにやってきて勧誘が始まりました、ので逃げました。
コマ劇場の前を抜け、有名なゴールデン街(後に有名だったと知る)を通り、花園神社へ。
訳もなく公演の成功を祈ってお賽銭を奮発。そして職安通り(という地名がすでに凄い)を抜け、新大久保の韓国ストリートを通り、旅を終えました。
 足は棒になりましたが、新大久保で電車に乗った時、私にはある確信が生まれていました。
一言に新宿といってもこんなに沢山の顔があったのです。
日本一の歓楽街から徒歩5分で、近代的な未来都市に。
そこから5分でもう庶民的な街並み。
新宿という街はすでに「劇的でダイナミック」だったのです。
100幕劇の構想はほどなく生まれました。
 そんな沢山の顔を持った「新宿という街」。
それを舞台でどう表現していくか。
私の中に生まれた予感、「新しい何か、とはいっても今まで培ってきた様々なものを生かした何か」がどんな形となるか…。
「電撃の100幕劇」どうぞお楽しみに。


                              松本 陽一