劇団6番シード第30回公演 「かりすま」 作・演出  久間 勝彦○○ 

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久間勝彦インタビュー

「かりすま」スタートまであと3日!!
そこで、公演直前企画・久間勝彦インタビューをお届けします。
作・演出の久間氏が語る、6C時代劇「かりすま」。
一体どんなお話が飛び出すのか!??


久々の久間勝彦インタビューということで、よろしくお願いします。


よろしくお願いします。


いよいよ本番が迫ってきましたね。
今回は、6番シード初の時代劇という事で、まず、なぜ時代劇を書こうと思ったかについて教えてください。


いろんな意味でね、ストーリーにしても何にしても、制約がなくて書きやすいんです。
ロマンを書いて嘘がないというかね。最近は、ロマンを書くと嘘になりやすいんですよね。
多分ね、人間の歴史って繰り返されてるから、今の時代にもロマンはあると思うんだけど、
現代に生きてる我々にとっては、現実の世界が目の前にあるわけじゃない?
だから、現代劇で「青井閃之介」を書くとなるとちょっと難しい気がするんですよ。
でも、時代劇だと嘘がなく書ける。
それと、青井閃之介の暗い部分も、時代劇という中だと描く必然性とかがあってね、
そうしたら、クリーンなだけじゃないものも書けるかな、と思ってね。

では、時代劇が書きたかったというよりも、その主人公を書こうとしたら時代劇になった、という感じですか?

そうかもしれないし、やっぱりね、憧れがあるんだよね。
今まで、6番シードで時代劇をやったことがないというのが一つと、
好きな映画だったり芝居だったりに時代劇がたくさんあるし。
山本周五郎さんのファンなんですよ、とっても。その時代の粋な人達が好きでね。
なんかね、今の世の中はすごく、みんな生き方がかっこよくないなあ、って思うんですよ。
お金儲けするにしてもなんにしても、生活する中での行動・言動・手段、いろいろあるけど、かっこよくないなあって。
「武士は食わねど高楊枝」とか、「やせ我慢」とか、すごく憧れを感じるのね。
自分自身は貧乏でやせ我慢はしてるんだけど(笑)、
でも、それは全然かっこいいやせ我慢じゃないからね(笑)。
もっとかっこいいやせ我慢とか、そういうのを書けるなあって。
あの時代には、かっこいい人がいた!って。
こんな粋なお姉さんがいたんだよ!みたいなのを、ホントは知らないんだけどね、
でも、そういう憧れを作品にぶつけたかったところはあります。

その中でも、特にこの元禄時代を選んだのは?

元禄の少し前っていうのは戦時代で、江戸時代になって世の中が少し安定して、町人の文化が花開いて、
たくさんの制約がある中でも、人が自由に生きてるっていうイメージがあって。それで書いてみたいなあと思ったんですよ。

元々歴史はお好きだったんですか?

学校の成績は全体的によくなかったんだけど、歴史はちょっと良かったかな。
でも、全部忘れてます!!(笑)まったく覚えてませんね。

じゃあ、書くにあたっての時代考証は?

もちろんしましたよ。敢えて無視したところもあるし、ここはしっかり押さえておきたいなあと考えたところもあります。
基本的にはフィクションなので何でもありだと思ってるけれど、ただ、引いちゃうようなウソは入れたくないなと思ってます。

それでは、今回の主役の「青井閃之介」という人物について、最初に久間さんの中に浮かんだものは何でしたか?

決して二枚目ではないというのが最初にありましたね。ただ、生き方がとってもかっこよくてね。
発想の一番最初のところに、現代の風雲児といわれる孫さんとかホリエモンがいたんだけれど、
彼らはそんなに言われてるほどかっこよくないぞ、青井閃之介はもっとかっこいいやつだぞ、というのを書きたかったですね。
やっている事の規模ではなくて、最終的に決断するときの価値観とか、そういうものがすごくかっこいいぞって。
そういう主人公を目指しましたね。

今回はいろんなところで「粋」という言葉を耳にしますね。

よく言われてることだけれど、「江戸の粋は表よりも裏地に綺麗な柄を使う」とかね、
ずっと見つからなくても誰の目にも触れなくても、
その人がこだわってる大切なものがあって、それだけは守るよ、みたいなね。
誰にも気付かれなければ結局は表に出てこないけど、でもかっこいいぜって。
そういうものでもしっかり守り続ける事ができるのっていいよね。
表面的にかっこ悪く見えてるヤツが、実は一番かっこいい、っていうね。
そのためだったら命捨てるぜ、みたいなね。
昔の日本人はそんな感じだったんじゃないか、っていうのを勝手に想像しながら書きました。

で、実際それを演じている妹尾君はどうですか?

うん、伸ちゃん(妹尾)の閃之介の泥臭さみたいなものは、いいですね。
まだまだ稽古の段階だけれど、これがしっかり仕上がれば魅力的なものが出来ると思います。
彼は小細工のできない役者だからね、本当の意味での小細工をしない青井閃之介になると思ってます。
もちろん、芝居の中ではたくさん小細工するけどね(笑)。

今回、過去最高の34名出演ですが、その中でも、久間さんのお気に入りのキャラクターはいますか?


主役はまあ、置いといてね(笑)。
やっぱり、閃之介ファミリーかな。万吉、お涼、金太とか。
あいつらの繋がりがとっても魅力的で、2時間という制約の中で描かなきゃならないので、
表に出ているものの裏っかわを感じてもらいたいというか、
そんな仲間が最近は少なくなってる気がするし、「仲間」かな、好きなのは。
あとはね、女郎達がすごく生き生きしててね。
女郎のイメージって、虐げられてて不幸なイメージが多いけど、
そういう境遇の中でも楽しい事を見つけて生きてた人もいると思うし、
毎日違ってたと思うんですよ。だから、決して暗い女郎にはしたくないなあと思っていて。
それが結構よく出てるんじゃないかなと思います。
女郎達是非見てください。色っぽいですから(笑)。

なんだか面白い4人組が出てきますよね。

ああ、あれですね(笑)。

久間さんの台本の中ではとっても新しいというか新鮮な感じがしたんですか、
あのシーンやキャラクターに何か意識があったんですか?


そうだね、時代劇なんだけど、あんまりチャンチャンバラバラはやりたくなかったんですよ。
でもちゃんと、「やられる役」が欲しくて。
やっぱり対決があって、ケチョンケチョンにやられて、っていう風に考えていくと、ああいうキャラクターが面白いかなって。

なるほど、チャンバラはないけど、彼らは「やられ役」ってことですね。


そうそう。青井閃之介は斬った張ったっていうんじゃないからね。
そうしたら、ああいう形になりましたね。

最初に読んだときちょっとびっくりしましたね。久間さんもこういうのを書くんだ!って。


若い人へのサービスです(笑)。

時代劇といえば着物ですが、衣装はいかがですか?


いいですよー。

たまたまだと思うんですが、着物に詳しい参加者さんが多いですね。

そうなんです。今までもそうだったけど、それ以上にね、ホントにいろんな人たちに支えられて、
みんなが作ってる芝居だって言うのを感じますね。
特に外から来てくださった人達がとっても積極的に動いてくださって、
「6番シードちょっと頼りないぞ」ってどうしても手を差し伸べなきゃいけなくなってきたんだろうと思うけど(笑)、
そういうところがとってもいい雰囲気で嬉しいですよ。横のつながりも広がって行ってね。
これがいつまでもいい繋がりとして残るといいなあと思ってます。

稽古の方は順調ですか?

この時期いつも胃を痛くしながらやっててそれはいつもと変わらないんですけど(笑)、本番にはこぎつける、って感じかな。
でも、最終的にはすごくいいものにしたいので、最後までしつこくしつこく粘って行きたいと思ってます。

現代劇を演出するときと、時代劇を演出する時の違いみたいなものはありますか?

所作とかね、今のテレビよりも昔の映画をみててかっこよかったなあって思うので、
それに近づけて行きたいなって思ってるんですよ。
現代劇だったら分かるけど、自分も専門家じゃないので、動きとか着付けとか詳しいことはわからない。
だけど「違うな」っていうのはなんとなく分かるんですよ。
だから、少し詳しい人に教えてもらったりしながら修正したりして、そういう意味での困難さっていうのはありますね。
でも、やってて楽しい。出演してる人も感じてると思うんだけど、やっぱりね、日本人としてのDNAが騒ぐところがあって。
見てて楽しいです。男の子なんてね、刀持ったらやっぱりノってくるし、女郎達も綺麗な着物着たら気分が変わったり。

今回、客演でStudio Lifeの牧島さんが出演されてますね。

彼はね、役者としては10年選手って聞いてたんですけど、やっぱりなるほどなって思うところがたくさんあります。
細かいところまで言わなくてもその先までしっかり芝居をしてるし、
自分の中で情景とか台本の意味を汲み取ってやってらっしゃるところがあって。
うちの駆け出しの役者さんとやってるときとは違って、一を聞いて十を知るというか、
むしろ何も言わずにやってくれてるところがあるので、こっちはとっても楽ですね。
また何回でもガッツリ一緒にやってみたいですね、今回だけじゃなくて。
真面目ですね、芝居に取り組む姿勢が。謙虚で。
役者さんの謙虚さって、出来た上で謙虚だと光るんだよね。
出来ない人は自信がなくなって低姿勢になっちゃうんだけど、ちゃんと出来てて、
さらなる探究心で謙虚な姿勢で来られると、頭が下がりますね。

それでは最後になりますが、お客様にメッセージをお願いします。

日本人だったら、老いも若きも、絶対楽しめる作品だと思います。
貴方のDNAくすぐりまくりですよ(笑)っていうね。期待して見ていただきたいですね。
若い人には新鮮な部分もあったり、年配の方には懐かしい部分もあったり。
楽しみにしててください。
余談だけどね、もしかしたらこれまで書いてきた現代劇も、発想は時代劇ってのが多いかも知れない。
だからレトロな雰囲気があちこちにあったりしてね。単純に年取った人が書いてるからレトロなんじゃないよ(笑)。


子供の頃、たくさんの時代劇を見たという久間さん。
その頃の時代劇が久間さんの中に今でもたくさん残っているようです。
久間さんの中に粋な江戸時代の人々のイメージが今でも行き続けているように、
「かりすま」をご覧になった皆さんの中に、6番シードの時代劇がずっと残り続けていく、そんな作品になりそうです。
いよいよ18日(土)、開演です!!
どうぞお楽しみに。


2006年 11月18日(土) 〜 11月26日(日) シアターVアカサカ