スペシャル対談1  大橋祥正×松本陽一

――今回の「Call me Call you」で、大橋さんが交渉物の映画をやられているということでいろいろリサーチ段階で協力して頂いたということなんですが、もともとお二人は映画学校の知り合いということなんですよね。

松本 そうですね。僕が上京し てきたきっかけとなった鎌倉映画塾っていう映画の学校で大橋君と出会って。確か大橋君が一つ下になるんだよね。
大橋 学年でいうと、そうですね。
松本 学生の頃はそんなに交流もなかったような気 がするんだけど、卒業してからのほうがちょいちょいお話するようになって。そ れが去年の9月のアトリエ公演で「最後の1フィート」という作品で映画の裏側 にいる人達を描こうと思った時に、今まさに映像の世界で活躍している大橋君が いるじゃないか、ということで取材させて頂いたんです。フィルムコミッションや、警察の撮影許可など、もう毎晩1時間くらい電話するような仲になって(笑 )
大橋 最初は、鎌倉映画塾でトム君(松本)の監督作品の現場に手伝いに行ったんですよね。
松本 あんまり覚えてない(笑)
大橋 変わってないですねトム君は(笑)。トム君が2年生で、僕はまだ1年生で。学生の間で選抜されてシナリオ選ばれた人が監督できるっていうコンペで、トム君のシナリオが選ばれて。監督します、16ミリで監督っていうときに、普通は2年生だけでやるんですけど勝手に1年生の僕は現場にちょっと手伝いに行かせてくださいみたいな感じでウズウズしてて行ったんですよ。その時の演出っぷりと今と変わってない。
松本 成長してない!成長してないのかな・・・
大橋 そこが面白いですよ、思い出すと今とモロかぶりですよ。
松本 テンション高い感じですか?
大橋 やっぱりこだわりがあって自分のビジョンがちゃんとあって、そこに向けて役者さんをこう、その気にさせるっていうんですかねえ。最初からもうあるんですよね、駄目なら駄目でもうすぐに、テストで芝居した瞬間に『はいっカット駄目駄目』ってすぐ。自分の思いと違うとパッと出ますよね。
松本 すげー我侭な感じ(笑)僕はわりと自由に見てるつもりではいたんですけどね、役者さんの芝居を。


大橋祥正(おおはし よしまさ)…1975年生まれ。鎌倉映画塾在学中に、目の不自由な祖父を暖かい視点で記録したドキュメンタリー「ここだ、ここだ」で、東京ビデオフェスティバル銀賞受賞。以後、映画、ドラマなどの助監督として数々の現場に参加。主な作品は「踊る大捜査線MOVIE2〜レインボーブリッジを封鎖せよ〜」「交渉人、真下正義」「ユモレスク」など。最近は、ミュージックビデオなどで監督業に進出。自身が企画した映画「夜明けの記憶(仮)」で脚本家松本陽一とタッグを組み、現在撮影準備が進む。


松本陽一(まつもと よういち)・・・1974年生まれ。鎌倉映画塾卒業後に製作した映画「トロコ」で、神奈川新聞社賞受賞。以後、舞台の世界に身を移し、数々の舞台に役者とし て参加。2001年「ホテルニューパンプシャー206」より、脚本・演出を開始。スピード感溢れるコメディやミステリーを数多く輩出。2006年は「Call me Call you」に続き、デビュー作「ホテルニューパンプシャー206」の再々演、演劇界で活躍する30代の役者のみを集めた企画公演「オイル30s」など、勢力的に舞台公演を続ける。

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