第二章第三節 「タジムとの出会い」
―見習僧モキ、令嬢メディナ―
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「ここでは普通、経典を学ぶ時間が与えられているのは古参の僧だけです。そうなる前に三年以上の下働きをしなければなりません」
(第2幕、経典について聞いたタジムに、モキが僧の身分制度を説明する)
サラガヤの聖殿
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これが有名な『サラガヤ・ファミリア
教会』。
ごめんなさい。『サ』しかあってま
せん。 |
前半にたびたび登場するサラガヤの聖殿(図1)。とは言っても場所はアスカリナ(注1)である。つまりサラガヤの神を奉った聖殿という意味である。ここでは祭司長ラビナスをはじめとする僧侶たちと、さらに下の身分、見習僧という立場の僧が生活をしている。アスカリナの出張所のようなものなので僧の数もサラガヤ本国と比べると少ない。見習僧モキは聖殿にやってきたタジムの世話役という役を任されることになるのだが、この出会いもまた後々のストーリーに大きく影響(注2)していくこととなる。ソマテの盗人タジム、サラガヤの生まれとはいえ農奴の出であるモキ。共通しているのは今まで虐げられて生きてきた「低い身分である」という事だ。
注1―今までのおさらい。アスカリナとはマサロ人が暮らしている都の名。サラガヤの侵略によってマサロ地方も国名的にはサラガヤとなった。つまりサラガヤ国マサロ県アスカリナ市といった感じ。ちなみにサラガヤ本国と呼ばれる都は、サラガヤ国サラガヤ県サラガヤ市といったところかな。なんじゃそりゃ。
注2―ストーリーに大きく影響することはネタバレなので書けません。ちょっと大げさに書いてんじゃないの、とお思いのあなた。本当に大きく影響しますよ。
コンパーレの娘、メディナ
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紀元節の祭りイメージ図と言いたいところ
だが、この写真はモスクワ。だったら載せ
るなよ。 |
邦司コンパーレの一人娘、メディナ。端女(注3)のオルガと共にサラガヤ本国で暮らしている。つまりコンパーレはアスカリナに赴任しているので、長らく父親と会っていないということになる。紀元節(図2)というサラガヤの祭りの為に帰還したコンパーレがタジムを連れていた為、この令嬢もまたタジムと出会うこととなる。タジムが何故コンパーレに連れられてサラガヤ本国にやって来たのか、実はそこにメディナとタジムが出会うこととなった理由が隠されている。
他の登場人物はほとんどがアスカリナにいるのだが、このメディナとオルガは遠く離れたサラガヤ本国にいる。他の人物達とは違った形でタジムと関わってくるメディナも、モキ同様大きな役割を担っているのだ。
注3―はしため、と読む。侍女、お付きの人とかいった意味。
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次回は、第三章第一節「処刑場と聖殿」
―サラガヤの兵士と僧侶―
です、お楽しみに。
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