第二章第二節 「対立の構図」
―祭司長ラビナス、千騎長ハンガス―
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「不意を衝かれて慌てるのは我ら世俗の者。祭司長ともあろうお方には無縁の事と思いますが」
(第2幕、コンパーレの突然の訪問に驚くラビナスに、ハンガスが皮肉まじりに答える)
祭司長と千騎長
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年令も経歴も不詳の人物、ましてや架
空の世界の人物の資料をどう探せという
のか。図は日本一有名な宗教家、教科書
でおなじみのあの人。作品とは無関係。
だったら載せるなよ。 |
祭司長ラビナス。祭りを司る長、祭りといってもここでは宗教の儀式や祭典のことを指す。つまりこの国の僧侶の中で高い地位の者につけられる役職のことである。
千騎長ハンガス。千の騎馬(注1)の長、これは読んで字のごとく兵士を統率する指揮官のことである。
この二人が作品の中でサラガヤ側の権力者として重要な役割を担う。かたや説法で、かたや剣で今の地位に登りつめたのだが、作中に二人の過去の経歴を説明するようなくだりは無い。当然年齢も不明、である(図1)。
マサロ人たちが暮らすアスカリナの都に、この二人はサラガヤ本国より赴任してきた。といっても二人同時にということではなく、サラガヤがマサロの地を都アスカリナを侵攻し支配を始めたころにハンガスが、その後しばらくしてラビナスが赴任した。何故ラビナスのほうが後なのか、そこに二人の対立関係を紐解く鍵がある(注2)。
注1―ハンガスの下には五千の兵がいる。つまり騎馬は五人に一人という計算か。ちなみに、時代や地域を考えると、馬ではなく駱駝(ラクダ)ではないかという説も。
注2―脚本家未確認のフライング情報。本編見て違ってたらごめんよ。
邦司コンパーレの存在
邦司(くにづかさ)とは、サラガヤ国王の下で、地域や都市の統率を任される者の事を指す。言ってみれば都知事といったところか。サラガヤ国王(図2)は作中に登場しないので、ストーリー上、この邦司コンパーレが最高の権力者ということになる。
ラビナスとハンガスは、このコンパーレの部下である(注3)。権力者の下に宗教家と武人という形は、世界
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サラガヤ国王イメージ図。でもこの
人は作中に登場しません。だったら
載せるなよ。 |
史や日本史にたびたび登場する形であり、知力と武力という両極の立場にいる場合、やはり次第に対立関係へと進んでいくようである。
主人公タジムとラビナス、ハンガス、そしてコンパーレ。権力者たちと一介の盗人がどのような接点でつながっていくのか。そしてその盗人タジムによって二人の対立の構図はますます浮き彫りになっていくこととなる。
注3―ハンガスはコンパーレの部下であるが、ラビナスは祭司長という立場上ちょっと微妙なところ。でもまあコンパーレのほうが偉い人というのは間違いない。
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次回は、第二章第三節「タジムとの出会い」
―見習僧モキ、令嬢メディナー
です、お楽しみに。
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