- 公演便り -

4月12日(水) - 小屋入り初日
   by 藤本 卓

 ついにというかやっとというかともかく始まった4月公演。
 みなさまにお会いできるのは14日の2時からなのですが、自分たちにとって見れば、この小屋入りと言う日からが公演の始まり。
 午前10時にこの銀座小劇場に集まったメンバーは男性陣と女性陣に別れて、男性陣は大道具搬入。女性陣は劇場まわりを整えていく。
 この日は大道具が途中の交通事情で11時に搬入と言うこともあり、初っぱなからトラブルに見舞われるという波乱ぶくみのスタートとなったけれども、そこは気合いで乗り切り、当初の予定にほぼ合致したペースで大道具の搬入を終えることが出来た。
 それからは照明や、音響をあわせるため音や、光が入るシーンをチェックしそれぞれに細部にわたって演出からの要求を受けてそれぞれのシーンに最後の部品が足されていく。
 そして……
 あとは劇場にてと言うことで。

4月13日(木) - 小屋入り2日目
   by 加藤 祐子

 こんにちは。
 はぁ、なんだかつい最近同じ文章を書いたような気がする……これはデジャヴ……!?
 てな事はなく、またまた加藤がお送りします。
 先日の稽古場便りでもものすごい調整がなされて−−−と書いたが、実際に小屋入りするとそれはそれは想像も着かないほどの大変さで、とても文章に出来るものではないのだが、文章にしないと稽古場便りは成り立たないので、仕方なく書くが、皆様はこの文章から受けるインパクトの3倍……いや、5倍だと思っていただきたい。
 まず、今まで出来なかった照明が入ると、音が初めて入ったときのようにがらりと印象が変わる。今まで見えなかった物が見えたり逆に見えていた物が見えなくなったり。そして、音と光のタイミングはそれこそコンマ1秒ずれてもいけない。役者はもとよりスタッフも緊張し通し。何度も何度も同じシーンを繰り返し、一番良い音、光、タイミングを見つけていく。まるでビデオを巻き戻して何度も見ているように。
 そして、今日は実際に本番さながらの通しを1回。もう後にも先にもこれで終わり。あとは本番しか残されていない。
 体力的にも精神的にも皆かなり限界に近いところで頑張っている本番では「限界を越えた力」を発揮するのは間違いないようだ。
 なんだか、本番になったら1ステージごとに泣いてしまいそうだ。
 いよいよ明日が本番だ。今夜ちゃんっと眠られるだろうか?(遠足の前の日の子供状態)




4月14日(金) - 初日

    by 松本 陽一

初日というのは、やはり特別なものがありまして。
 どうも、松本です。稽古場だよりすら一度も書いたことのない私が、本日ネットデビューとなりました。実は最近、時代の流れに押されパソコンを購入したのですが、これがなかなか便利な代物で、富沢、片岡とアナログ同盟を組んでいたのはもう昔の話。すっかりとりこです。
話がそれました。初日です。初日というのは、不安と期待が入り混じり(主に不安)役者のテンションも上がる、というより変なところに飛んでいく、といったような不思議な感覚におそわれます。ちょっと裏話をしますと、お客さんが入場されている30分間(客入れと呼びます)、役者は楽屋でスタンバイしているわけですが、そこでおのおのがテンションを上げたり、集中したり、実に心地よい緊張感が舞台裏を支配します。面白いのは、開演時間が迫ると誰からともなく、舞台袖に全員が集まってくるのです。そこでお客さんの声や空気を感じながら、最後の集中を行います。私はこの30分が大好きです。この時間と打ち上げのためだけに芝居をやっていると書くと、ちょっと語弊がありますかね。
いつの間にか私も、古株の仲間入りを果たしておりまして、気がついたら、富沢、片岡の次、古いほうから3番目になっておりました。であるからして、今回が初舞台の山田や、重要な役を演じる宮岡をリラックスさせる役回りにまわっていたりして、ちょっと月日の流れを感じたりもしました。結局、2人とも安定したいい芝居をしてくれて、おじさんちょっとホッとしました。
で、初日の内容なのですが、なんといっても夜の回。満員御礼がでました。立ち見の方もいたそうです。開演して、まずちょっとしたおまけ(内緒です)があるのですが、その時に舞台上から客席を見ると、とにかく、人、人、人・・・。劇場の床が全く見えない位ぎっしりと入っていて、さすがに私もブルっちゃいました。立ち見のお客様、詰めに詰めて座って頂いた桟敷のお客様、本当にありがとうございました。そしてごめんなさい。7月公演はオール映画館イスで広いところでやりますから。
私の役はというと、しがない万年係長です。本当にしがないですよ。しかしそこはコメディー、相変わらずの私のウリであるハイテンション芝居は、今回もたっぷりあります。しがないのにハイテンションというのはどういう事なんでしょうか、実は私にもよく分かっておりません。
私の話はこれ位にして。
お客さんの熱気と舞台上の熱気が相まって、開演するまでは大慌てでしたが、初日はいい芝居ができたんじゃないかと思います。明日はもっと、若手(といっても年令的にはまだ若いですよ、私)に負けないパワーで突っ走ろうと思ってます。まあでも、あんまり役者が「我(が)」をだすと良くないんですけどね。個人の力が複雑にかみ合って、集団の力になる、精密機械のような難しいバランスが、舞台の魅力でもあります。
中日というのは、とかく魔物が住みがちですが、この緊張感を保ったまま、明日も心地よい30分を過ごせるといいですね。
富沢、片岡、そして私のアナログ同盟は、「傷心館」の中でも、同じ境遇に立たされて・・・、おっと、ネタバレするところでした。それでは続きは、明日劇場で。

4月15日(土) - 中日
     by 山田 康弘 & 宮岡 あづさ

山田「今回の公演で初舞の山田です。公演2日目で緊張の中この日記を書いています。正直に申し上げますと自分のことで精一杯でこの日全体の様子などまったく見えていない状態でありまあして、困っています。では、ここで宮岡氏にバトンタッチします。」

宮岡「昨日にひきつづき大雨であるにもかかわらず多くの方がご来場下さいました。今回、まだ出演2回目にして重要な役を授かった私は舞台を刺すように見つめるお客様に圧倒され、共演者の方々に助けられ、1回1回たくさんのパワーをもらいつつ舞台に立っています。
 芝居はエンターテイメントでありながら、ファイティングであるようにも感じています。
 ”自分との”たたかいです。集中力を維持し、どの回も最高のテンションで迎えられるよう、そして過度の緊張や不安に負けずに快感と言う勝利へと向かっていく、そんなたたかいです。
 明日も役者、スタッフ1人1人がたたかいに挑みます。1つの「舞台の勝利」をつかむ為に。」

山田「最後に再び山田です。最終日がまだなので、こんな事を言いにくいのですが、一回一回舞台に立っていて、自分は本当にこの公演を成立させる一人になれたことをうれしく思っています。宮岡氏も言っているように私も共演者スタッフに助けられているからこそ、緊張に耐えられるのだと感じています。これからも頑張りますのでどうぞよろしくお願いします。」

4月16日(日) - 千秋楽
    by 宇田川 美樹

みなさまこんばんわ。
 うだがわでございます。
 今、撤収がほとんど終わり、一段落したところでございます。
 今回の公演はお客様には大変申し訳ない気持ちで一杯です。
 私達にしてみればうれしい悲鳴なんですが、毎回毎回満員御礼でさじきの方々、2時間も同じ体制で疲れたことでしょう。申しわけありません。そんな所に私が突然飛び込んできて目の前であんな顔されたらたまったもんじゃないですよね……
 でも、6番シードの温かな芝居私は大好きなのです。今回初めて6cのお芝居を見られた方、毎回足を運んで見ている方々、スタッフのみなんさん。ありがとうございます。私達は色々な人たちに支えられて一つの舞台を作り上げているんですよね。
 これから、待ちに待った打ち上げでございます。
 銀座の夜の街に腹式の笑い声が響いていることでしょう。