思い出の
第14回公演「星より昴く」
築地 ブディストホール

この時、役者が観客として客席に座り、そこから舞台に乱入するという演出があった。毎回きちんとチケットを持って受付を通り、客席に座る松本陽一。だがその姿はアフロヘアーに原色使いの洋服で新聞を握り締めるという、素晴らしいものだったため、お客さんには気付かれ「松本さんですよね。そうでしょ?ねぇねぇ」としつこく話し掛けられるは、後ろの席のお客さんには「アフロが邪魔で見えないわよ!」と本気で怒られるは散々だったとか。
実はこのアフロ、結構なお値段だそうな。最初に買ったアフロは彼的にお気に召さず、わざわざ高いものを買ったのだ。6Cには不思議なところにこだわるメンバーが多い。


ラストシーンにちょこっとだけ登場する“劇場掃除のおばば”役。
台本を読めば、ほんのちょっとの出番である。大して目だつ役ではない。
が、これが宇田川マジックにかかると、なんと終演後のアンケートで人気第1位を獲得してしまうのだ。
初めてこの役を稽古場で彼女が演じた時、メンバー全員度肝を抜かれた。あまりの衝撃に涙を流しながら爆笑するメンバー。彼女と会話する役者は笑いを堪えるのに必死で芝居どころではなかった。そして、みんなが喜ぶのを見たサービス精神旺盛な彼女は、更に更に演技に磨きをかける。舞台袖は彼女の芝居観たさに大混雑だった。
役に“大きい小さい”はないのである。どんな一瞬の役でも最高の愛情を持って演じるのが6Cなのだ。