>>>役者vs松本陽一 対談企画<<<
第4回 ブラボーカンパニー・蘭 真人

いよいよ対談企画も折り返しです!
本日は、ブラボーカンパニーでNo.2としてご活躍されている、蘭真人さんです。
さて、9月も1週間が過ぎましたが、稽古の進み具合はいかがでしょうか。

はい。順調です。

蘭さんはかなり強烈なキャラクターで、いろいろと噂が流れていますけれども・・・

いえいえ、おとなしくしています(笑)。

最初はどこで蘭さんを知ったんですか。

松本

ブラボーさんの公演を見たんです。昔、どこかでご挨拶をしたことがあって、それはもう覚えてないくらい前で。それを思い出した頃に、ちょうどブラボーカンパニーさんの公演があったので、一般客として入って拝見させていただいたんです。
その時がね、面白かったんですよ。男7人のブラボーカンパニーさんなので、とても個性的な感じなんですけどね、その中でも蘭さんのいいところは、「温度が違う」ってところなんですよ。芝居の温度が。蘭さんは自覚がないかもしれないけど、一人だけ温度が低いなあ、と思うんですよ。芝居してる人の中に、ポンとすごく異質な感じで、存在感があって、なんだろなこれ〜って。この人のこのスタンスは凄いな〜と思いましたね。それで、ご連絡して「出てください!」って。

じゃあ、何か繋がりがあったわけじゃなく、話が突然来たんですね。

そうですね、劇団のほうにメールいただきまして。

松本 そうそう、ホームページのメールアドレスに直アポです(笑)。
はあ〜、そうだったんですね〜。自覚なかったなあ・・・

蘭さんは6Cの公演を何回かご覧になってるんですよね。

そうなんですよ。ホテルニューパンプシャーと、新聞社のですね。見て、ああ面白いなと思って。
結構知り合いの劇団とかってよく見に行くんですけど、自分で言うのもおこがましいんですが、合わないなあとか外れるなあっていうのもあるじゃないですか。でも、お世辞じゃなくて面白いなと思って、機会があれば、なんて思ってたんです。

お互い別々にそういう思いがあったんですね。
そして、このオイルでたまたまそれが重なった。

松本

劇団のホームページにメールしてね、じゃあ会いましょうってことになって、初めましてって(笑)。

だから、僕のほうからすれば、まさか誘っていただけるとは思ってなかったので、驚きもあったんですよ。

最初にこの企画を聞いたときはどんな印象でしたか。

僕、3年ぐらい客演してなかったんですよ。都合とかもあったり、割と同じような役で呼ばれる事も多かったんで、ちょっとしばらく自分のところで集中しようと思って。それで、このお話をいただいたときに、「これは!」っていうのがあって、久々になんとか出たいなあと思いまして。


オイルに惹かれた理由っていうのは何だったんでしょうか。

一つは、6番シードさんの芝居を見てて、ガチンコに興味があったってことですね。あとは、同年代って言うとみんなに怒られちゃうそうですけど(蘭さんは小沢と並んで最年長)、同じくらいだし、面子的にもおもしろそうだなっていうのもあったし、作品的にも興味が沸いたし、それで是非、と。

松本

不思議なんですけどね、客演が数年ぶりの方がほとんどなんですよね。(山田)能龍さん、松田さん、佐久間さんもそうだし、皆さんだいたいの方が、劇団の方に集中したいというようなのが主な理由で、客演のお誘いもお断りしてて、かなり外に出ていない期間があったらしくて。僕は何も知らないで、ホイホイホイって声かけていったら「あ〜ちょうどいい時期に!」って(笑)。なんてラッキーボーイなんだ僕は!って思いましたね。
確か、蘭さんとお話したときは、能龍さんが決まっていて、佐久間さんにもお話をしていて、松田さんにも声をかけた後で、最後に蘭さんと会って、蘭さんの口から「3年間お断りしてた」って聞いたときに「えーーー!??」って。ここまで偶然が重なるのか、と。
なんか、縁を感じましたね。


最初にオファーをされたに時は、どんな話をしたんですか。

なんとなく、構想をいただいたんです。台本はまだなくて。

松本

その頃は5行のあらすじしかなくて(笑)。
韓国料理屋に行ったんですよね。

そうそうそう。どこにしましょうかって話になって、池袋で、僕もそんなに知らなかったんですけど、「韓国料理食べたいな」って(笑)。
松本

そしたらちょっと高くてね(笑)。


その時の、お互いの印象はどんな感じだったんですか。

松本

僕は、イメージ通りという感じでしたね。多分、普段は礼儀正しい方なんだろうな、とか、物腰の柔らかい方なんだろうな、みたいなイメージで、というか、そうであってほしい!と思ってて(笑)。その通りの方でしたね。

結構僕も、リラックスしてお酒が飲めましたね。

松本

あれでしたよね、劇団の苦労話で花が咲いたんですよ。
ブラボーさんの例のダンボール小道具秘話とかね。

そうでしたね!
本番直前に、『今からダンボールで、(あざらしの)タマちゃん4体、明日までに作れ』っていう指令がFAXで流れてきたんです。結構あることなんですけど。
既に小屋入りしてて、翌日本番とかだったんですけど。

松本

そこからタマちゃん4体?
小屋に指令が来るんですか?!

小屋にダマで(黙って)泊まって、当然台本も届いてるから、覚えながら作って。眠くなると逆のことをして。繰り返しですよ。
松本 どうやって小屋にダマで泊まれるんですか(笑)。

劇場さんにね、「じゃああとはよろしくお願いします」って言われて、「ああ、わかりました、戸締りしておきます」っていって、そのまま居座る(笑)。
・・・なかなかいい思い出です。

松本

ブラボーさんの武勇伝はすごいですよね。
僕が見た公演は芸劇(東京芸術劇場)で、僕らも良く使わせてもらってるんですけど、芸劇の舞台裏って広くていいですよねー、なんて盛り上がった時に、明らかに捉え方が違うんですよね。僕らは、モノとか資材が置けていいなあ、っていうイメージなんですけど、ブラボーさんの場合は「いいですよね〜、あそこでしっかり立ち稽古ができますもんね」って言うんですよ(笑)。ああ、そんなにいっぱい稽古される方達なんだって思ってたら、「開場してからあそこで稽古できますもんねー」って(笑)。「あそこで台本覚えれますもんね」って。
初日の朝にFAXで台本が来たりするから、お客さん入れてる間に覚えるんだって。

それも結構ありますねー。お笑い系の要素が濃い劇団なんで。だからと言って何だって話ですけど(笑)。(台本の)当日渡しもよくありますね。
松本 だんだん切っていくんですよね?初日は全部上演して、アドリブなんかも入れて3時間くらいになっちゃって、劇場さんから「長い」って怒られて(笑)、次の日からネタがカットされるらしくて。だから、本当のブラボーファンは初日に行くって聞きましたけど。

初日来て、(カットされた)編集バージョンも見に来るんです。
前々回の初日は、やろうとしてた事が終わらなくて、小屋の退室時間に間に合わなくなっちゃったから、『すいません、ここで終わります』って。

松本 (爆笑)途中終了ですか!??

『お客さん出しもできないんで、早めに帰ってください』って(笑)。
あれはひどかったですねー。
誘拐事件の話を細切れでやっていまして、それが第4弾まであったんですけど、第3弾の途中までやって、第4弾が出来なかったんですよ。

松本 オチないまま?
オチないままです(笑)。『結末は想像してください』って。ほんとに、失礼極まりないですよね・・・

では、蘭さんから見た6番シードのイメージは?

初めて6番シードさんを見たときに、いい意味で家族的な部分を感じてて、この稽古場に来ていろいろ聞いて、ああ、なるほどなって思いましたね。僕らは16年くらいやってて、6Cさんも92年に旗揚げですよね?割と同じくらいの期間続いてるってところもあり、似てるなあって思いましたね。


ブラボーさんは同じメンバーでやってらっしゃるんですよね?

そうです。一人だけ3年くらい前に加わってるんですけど、それまでは6人で。男だけで。


学生時代からやってらっしゃると聞きました。

はい。大学の演劇部でやってたんです。
大学の教室に雪山のセットとか作って、その雪山の真ん中に教授の壇上があって(笑)、その中で教授が授業してて。「大丈夫か、この教授?」って(笑)。

松本 すでにコントじゃないですか(笑)。

大学時代にお芝居を始めようと思ったきっかけは何だったんですか?

高校時代に8ミリ(映画)とかやってたんです。で、大学では仮面浪人してたんですけど、失敗して(苦笑)、最初は映画をやろうかなと思ってたんですよ。どこにカメラあるかなって探してて。映研とか行くとうるさい人がいっぱいいそうだから行かないで、ミステリークラブっていうクラブがあって、そこなら機材はあるけどあんまり熱心にやってないという噂を聞きつけて、よし、じゃあ行って頂戴しようと思って行ったんですよ。
確かにあったんです、機材が。あったんですけど、部員さんが、「ティータイムが大好きなミステリー好きの少女たち」っていう感じで(笑)。どう考えても場違いなんですよね〜。これじゃ、映画は撮れんと思って困っていたら、学生ホールみたいなところで「演劇部公演」っていうのを見かけて。フラフラっと行って、入れてくださいって。それで、そのまま居ついた、みたいな。


その時のメンバーがそのままブラボーカンパニーに?


そうですね。との時は「天晴お気楽事務所」っていう劇団で。
僕は、仮面浪人失敗したあとなんで、大学2年のときに入ってるんですけど、新入生が何人か入部してたんですね。座長の福田は3年生で、上の代が抜けて、福田がこれから新たに座長でやろうとしてる時だったんで、ちょうどよかったんですよ。


卒業してからそのまま続けるというのも自然に?

気づいたら続けてましたね。


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