>>>役者vs松本陽一 対談企画<<<
第1回 小沢和之/宇田川美樹/鈴木智晴


6Cでは看板のお二人と、6Cではお馴染みの鈴木さんと、このお三方に対して演出の松本さんから求めてるものとかってあるんでしょうか?

松本 そうですね、自分でも意図したのかそうじゃないのか分からないんですけど、登場順で言うと、この3人が早いんですよね。「ビリーブユー」という、ダウンタウンにある安ホテルのオーナーとベルボーイと、そのホテルにいつも出入りしている娼婦っていう、いわゆる舞台となるホテルの「地元民」なんですよね。で、そこに訪れてくる客っていうのを他の劇団からいらした方が演じる。
なんかちょっとね、構図が似てるというか、ホームの3人のところにアウェイの皆さんが挑戦状を持ってくる、みたいなね。
結果的にそうなったようなところはあるんですけど、この3人の連携と、他の皆さんとのぶつかり合いって言うのが楽しみだし、楽しくなるんじゃないかなって。
智晴君と和さんもね、見慣れた感じだしね。
鈴木 1回しか絡んでないけどね。(2006年4月「Call me Call youで共演)
松本 あの役どころから飛躍して今回の役どころはなかなかおもしろいよね。
「ええっ!あの2人が!?」みたいな(笑)。

逆にお三方から、今回はこんな風にやってやろうというような野望とか意気込みは?

宇田川 まずは食われないようにしなきゃって(笑)。
普段そんなこと考える必要はないんですけどね。万が一ね、食われてるぞなんて日がこないように、虚勢はっていこうかな、と。
小沢 僕は、ほんとに外の劇団の方とお芝居やる機会が少なかったんで、最初戸惑うかな、なんて思ったんですけどね、そういうこともなく、いい空気を感じさせてもらってるなあって。
宇田川 みんな柔軟だよね。
小沢 ね。いろんなことを柔軟に考えてやられている役者さんばっかりで。このチャンスを生かさない手はないなっていう思いですね。芝居の稽古と外れたところでもね、いいお付き合いさせていただいて、いい作品が作れたらいいなと思ってます。
全員 (深く頷く)
鈴木 僕は唯一20代なんでね。
今まで6Cさんには客演で出してもらってて。でも今回初めて、客演としてではなくて、役者としてトムさんにダメ出ししてもらえるのが嬉しいですね。前はちょっと遠慮があるのかなと思ってみたりしてたんですけど。
なんかね、「もっと声出せ」とか「言葉の立て方がどうだ」とか、そういうダメだしが全然なくて、いきなり「その台詞の意味合いは・・・」みたいなところから入っていくんですよね〜。
松本 そうですねえ・・・カツゼツとかねえ・・・・(溜息)
宇田川 イライラしてないんもんね。
松本 ええ。当たり前にイライラしませんね。
宇田川 あたしとやってるとイライラしてるけどね。
一同 (苦笑)
宇田川 でもすごく、楽しそうにやってるよね、トム君自身が。
いつもだと、稽古中に、急にしかめっ面したり、鉛筆置いて腕組んでみたりしてるけど、私、今回ちょっと待ち時間があるんで、その間トム君の顔ずっと見てるんですけど、もう、子供みたいな顔して見てる。
口開いてるよ!みたいな。
鈴木 僕もよく目が合うもん。前まであんまり見てくれなかったけど。
一新人役者として充実感を感じますね。まだまだだなって。今日からは皆さんぼくの事「鈴木智晴(新人)」って呼んでください。
宮崎アニメみたいに(笑)。 

この人には負けたくない、みたいなライバルはいますか?

全員 (即答)いないですね〜。
宇田川 ライバルっていうかね、みんながいい仕事をすれば、誰かのためっていうニュアンスよりは、お互いがお互いの仕事ををきっちりやれば、おのずといいものになっていくと思うんでね。
鈴木 それぞれの役もそれぞれのバックボーン持った人が集まってくる感じするしね。
ライバルがいるとしたら、(小沢を指差し)この人!
僕は(小沢の)一番の被害者です(涙)。
和さんの、この風圧の強い感じを利用できたらいいいんですけどね〜。
ニコニコしている小沢
宇田川 いろいろやらなくていいって言われてることはいいことなんだよ、和さん!!
普通役者って、いろいろやれやれって言われるもんなんのに、和さんは「ビックリアクションやらないてください」って言われてるのに、デカイリアクションとってるからね(笑)。そこにいるだけで十分存在感があるってことなのに。
小沢 あ、そ、そうなの?

松本さん的には、この3人に対していつもとは違うキャラクターの描き方をしてるんですか?

松本 ありますね。独特な雰囲気の作品だし、しっかりキャラクターを作り込んで欲しいなっておもいますね。体の動きから視線の運びまで、全てが物語である、っていうのかな。現代劇で身近な題材を扱うのと違って、ちょっと御伽噺っぽく作りたいなっていうのがあるんで。そういう意味で、割とこの3人にも、他の人にもそうですけどね、少し高いハードルを作りたいなあって。その最たるのがオープニングの智晴君なんですけどね。
なんかね、あえて高いハードルを用意しなきゃな、って思いましたね、この企画が始まるときに。みんなが楽勝でできるようなんじゃなくてね。
今までやれなかったことができて、それをどこまでやれるかってことですよね。今までと同じゴールとか、いつもよりちょっと良かったね、じゃダメで。
圧倒的に「このメンバーだとスゴイ事になってるよ!」ってなるには、それなりに険しい道があるのかなあ、と。
逆に役者さんはこの作品、やっててどうなんでしょうね。
鈴木 ミステリッシュコメディなんでね、僕の中でまだミステリーです!
まだまだやらなきゃいけないことがあるんで、やり甲斐があります。
ただのコメディじゃなくて、独特の間だったり、不思議な空間だったり言葉遣いだったりがあるんで。このひと夏でしっかり見つけていけたらいいなって。
楽しい作品だと思います。
役はベルボ−イなんですけど、ベルボーイって聞いて想像するベルボーイとはちょっと違う感じなので、それを模索するのも楽しいですね。
小沢 非常に楽しいです。ものすごく好きになれそうな作品になる予感がします。
松本 まだ予感ですか(笑)。
小沢 いやいや、やっとね、僕も、役者になれそうかなって(遠い目)。
一同 (一斉に)じゃあ今までなんだったんですか!?!??。
松本 すごい、衝撃の発言だ・・・
鈴木 あえて掘り下げますけど、それはどういう意味で??
小沢 さっきの話と繋がるんですけどね、他の劇団の皆さんの中で試せるというか、他の世界でやっていらっしゃる方と芝居を作っていけそうかな、っていう感覚がね。
鈴木 役的には?
小沢 ええっと・・・・(詰まる)
鈴木 オーナー役ですよね。
小沢 え、あそう、オーナーです。
鈴木 ぼくのベルボーイとコンビでね。
小沢 はい。そうです。
鈴木 じゃあ今回は和さんの役者デビュー作ということで期待してください!
小沢 はい、いろんな意味で。

宇田川さんはどんな役なんですか?

宇田川 パンキーな娼婦・・・なんですけど。
(チラッと松本氏を見る)最初松本君が、「宇田川さんの普段のおもしろおかしい感じの役で、あなたのおもしろさを出したいんだよねー」みたいなこと言ってて。
前回はクールな役だったんですけど、一生懸命やっても面白いって言われちゃって。クールにならなきゃと思って、いろいろ制約された中でやってた感じがあって。で、松本君に「次は自由にやれるよ」って言われて、よーし!って思ってたのに、稽古に入って2日目ぐらいでもう「違う」「違う!」って言われて・・・なんか・・・。いつもと変わんないんじゃな〜いかな〜って・・・
松本 変わらないですね(あっさり)。
一同 (爆笑)
宇田川 まあね、毎回こうなんだろうなって分かってるんですけどね。
なんかこう・・・ね、爆発したいんですよね。
爆発したいんです!!
もっとこう、荒れ狂いたいんですよぉ、やったあ!!!コメディだあ!!って。
松本 最初のイメージではね、宇田川さん野放しっていう感じだったんですけどね、書き始めてやり始めたらやっぱり欲が出てきちゃって。「今まで見たことない宇田川さんを見てみたいな」と。
そしたらアンニュイになっちゃった(笑)。
宇田川 (ガッカリ)・・・まあ、なんで、頑張りたいと思いマース。

では最後に、メッセージをお願いします。

鈴木 何度も言ってますけど、僕は唯一の20代ということで、それぞれの劇団の看板役者さんが出演してる中で、ぼくはフリーで。
でね、このままこのオイルの企画が続いていくならば、この僕の一枠が、20代の役者さんが目指す場所になればいいな、と。そういう意味で今回初めての企画だし、いろいろしんどいこともあるかな、と思うんですけど、くじけずに頑張って、「この場所に立ちたいな」って思わせたいですね。そして、ぼくも大人になったら、渋みのある、重い言葉の発せられる30代になりたいです。
オイルトウェエンティ鈴木でした!

宇田川
ま、私はいつもと変わらずマイペースでがんばっていますので、楽しみにしていてください!多分、おもしろい、ので。
やっぱり宇田川さんはシリアスよりコメディだよね〜って言わせちゃうよっ。
小沢 ぼくは非常に恵まれた方々とお芝居ができる喜びを感じながら、本当にお客様にも、僕たちも心の底から楽しめる作品にしたいと思っております。皆様、よろしくお願いします。
松本 まあね、智晴君は客演ですけど、この3人がホームというか、何度も一緒にやっている、僕の信頼している役者さんたちということで、何て言うんでしょう、密度の濃さって言うかね、舞台上にこの3人しかいないっていう画が結構おもしろかったり、それがまだプロローグで物語が始まってもいないような段階でね、だからね、僕もまずこの3人が楽しみっていうのがあります。
3人ともね、化学反応を楽しんでる感じなんですよね。だからすごく生きた抜き稽古ができる。それによって得ていく刺激がそのまま舞台で見えるんじゃないかなあと思います。

口数の少ない小沢さん、一番よくしゃべる最年少の鈴木さん、そしてマイペースな宇田川さん、3人登場のオープニングは必見ですね。

→→次回は、
劇団東京サギまがい副座長・山田能龍さんです。お楽しみに!