公演だより ―桐の林で二十日鼠を殺すには―

2001年4月4日小屋入り1日目 by 附田泉

ついにきました。ザムザ阿佐ヶ谷。この記念すべき日は晴れ。劇場に着くとすでに大道具をつんだトラックが到着していて搬入作業にかかるところでした。急いで私も搬入の手伝い。その後舞台作り班、照明、音響など各作業に分かれ、皆張りきって仕込み開始。
ここからは時間との戦い。予定通りに作業がすすまないと全てのスケジュールが遅れてしまいます。皆で声を掛け合って、誰一人手を休めることなく、作業をすすめていく。とても大変だけど、お楽しみがあります。それは皆が作ってきてくれたお弁当。でも今日ばかりは皆一緒の食事とはいかず、それぞれ手の空いた人から昼食をとりました。休憩後さっそく次の作業にとりかかりました。それでなんと私、初めて照明を吊ってしまいました。脚立の一番上にたってバランスをとりながらライトを吊る。すごい怖かったけど、でも最後はもう一回やりたいと思ってしまいました。
こういう普段しないことをすると、スタッフさんの仕事を無駄にしないためにも、私の務めはお芝居をしっかりすること。がんばらなくちゃと思いました。
もう一つ、手作りお弁当を食べながら私は思いました。心は一つ。そうだよね。
お客さんはもうすぐやってくる、皆頑張ろうね。

2001年4月5日小屋入り2日目 by 山田康弘

桜がきれいな頃になりました。なんとなく心が穏やかになったり、ウキウキしてしまいます。皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、小屋に入って2日目、正直申し上げると大道具が1日目で設置できなかったので少々頭を痛めております。今回の公演で2回目の舞台監督を勤めさせていただくわけですが、セットに時間をとられすぎてしまいました。しかしながらそうは言っても大道具のできはなかなか、いや、満足いくものでザムザという劇場を上手く生かせるものになりました。まさに天宮邸が出来上がり私を含めたスタッフ、キャスト一同ヤル気が俄然高まったようです。押し押しのスケジュールですがなんとか調整し万全の状態で明日の初日を迎えたいと思います。
皆様花見もいいけどその後に演劇もいかがですか。

2001年4月6日公演初日 by 田中寿一

ついにこの日がやってきた。2001年劇団6番シード第1弾、「桐の林で二十日鼠を殺すには」公演初日。
朝、集合して顔を合わせるみんなの雰囲気がやはりいつもとは違う。気合いが顔いっぱいに漲っている……。そうだ!この数ヶ月間みんなでひとつとなって作り上げてきたこの『桐』の世界を、みんなの魂を、ついに舞台にぶつける「宴」の時がやってきたのだ!
アップをし、最後のゲネプロをし、メイクをし、本番の時を待つ。袖に待機をする仲間たちの顔を見る。心なしか朝には少し固さを感じたみんなの表情も、気合いとやる気で満ち溢れ、非常にいい状態で臨むことができたようだ。頼もしい仲間たちの顔を見て、僕もより一層気合いが入る。
そして本番。あまりの楽しさに、あっと言う間に時は過ぎてしまった……。
初日を終え、僕が今日感じた率直な感想。正直、気持ちよかったです。みんながいい状態で迎えられ、演じることができた『桐』の舞台。初日からこんなにも楽しいものができて、僕は幸せです。この初日の舞台が僕にとって初めてセリフのある、記念すべき舞台だったのですが、一生記憶に残るような本当にすばらしいものだったと思います。
2日目も3日目も全力投球をして、観に来てくださる観客の皆様により多くの感動を与えていきたいと思います!応援よろしくお願いいたします!! 6Cの若頭こと田中寿一より

2001年4月7日公演2日目 by 妹尾伸一

―やった大成功―
あーあ自分の思った演技が出来んもんじゃなんて言ったらえんじゃろうかわしの今回のテーマは、エルビスプレスリーの華やかさそしてジョンレノンの人のひきつけてやまない魅力大隈ケンヤの柔軟性と言ったようなかなり高い位置に目標をたてたんじゃけど何一つクリアできんあーあわしは一体何物なんじゃろ、1月から練習しょんのに、考えれば考えるほど憂鬱になってくる。
もしもわしがエジソンなら恐らく何も作らんかったじゃろ。じゃが仮にニュートンなら、バッハなら、、、無理じゃろー恐らく作らんかったじゃろ。奴らに(エジソン・ニュートン・バッハ)長本浩次が出来るか、いやできない。そーだわしは長本浩次になりつつある。わしの勝ちじゃーそーじゃわしは奴らに勝ったんじゃ成功じゃ。わしは正々堂々勝負して勝ったんじゃーやったーやったーやったー大成功ーやったーやったー大成功ー。

2001年4月8日公演千秋楽 by 松本陽一

千秋楽というのは色々な思いが駆け巡るものですが、今回に限っては自分自身そんなに大きな気持ちの変化は無かったように思います。時間通りに小屋に入って、いつも通りにアップをして、本番を昼と夜の2回。なんでそんなに冷静なんだろうとか考えてしまいますが、それは今回、本当に膨大な稽古量をつんで迎えた本番だからじゃないかな、とふと最後の開演を待つ舞台袖で感じたりしました。お客様は初日だろうが楽日だろうがご覧になるのは1回きり。そういういい意味でムラの無い芝居が出来たんじゃないかな、と少しは思える公演でした。とは言っても反省することはいつになってもどんな公演でも山ほどあります。そんなことはとりあえず頭の奥のほうにしまい込んで、打ち上げのビールの為に殺気立つバラシへと向かったのでした。  
ご来場ありがとうございました。