vo5.「小さな物語」

ケーブルテレビの会議室から
  今回の作品コンセプトは「小さな物語」。これはアトリエ公演というわずか40席の劇場に合わせて、登場人物も少なくそして大げさなテーマを語らず、等身大の人物たちのほんの少しの心の変化を描いてみようと思ったからです。そこで、一つの出来事をテーマにして、様々な視点でその出来事に関わった立場の違う人たちを描いたら面白いだろうなと思いました。そこで思いついたテーマが「映画」。
警察の取調室から
 私も映画は好きです。最近はなかなか数を見ることは出来ないのですが、時間があれば(あと金銭面も)沢山見たいと思ってます。映画にはそれこそ途方もない人の想いが詰めこまれて出来上がるものかも知れません。それは監督や役者、プロデューサーや脚本家だけでなく、予告編を作る人や、劇場でチケットをモギる人、そしてその映画を映写する人など、監督やプロデューサーが知らないような人も含め、一篇の作品が観客の元へと届けられる間に様々な人の想いが関わっていくのでしょう。
今回、舞台で「映画」をやろうと思った時に、映画の撮影現場を描いたのではつまらないと思いました。せっかく舞台で映画をやるのだから舞台でしか出来ない表現で「一篇の映画」を作り上げてやろうと思いました。そこで、この物語は映画が完成したところから始めようと決めました。完成し、そして上映されていく中で、その映画に関わった、あるいはひょんなことから関わることとなった人達(なかには映画の現場とは全く関係ない人も含め)が、その一篇の映画を語っていくと面白いのではないかと思ったのです。
映画館の試写室からお届けする
小さな小さな物語
物語の舞台となるのは3つの場所。ケーブルテレビの会議室。警察の取調室。寂れた映画館の映写室。ある小さな映画と出会った人達の小さな小さな3つの物語。舞台でこんな風に「映画」を語るのか、と思ってもらえるような構成で、この「最後の1フィート」を皆様にお届けしたいと思っています。
…台本は先週に続き停滞したままですが。


2005/6/23