vo2.「映画の話」

映像には映像の舞台には舞台の
良さがありますよね

  今作「最後の1フィート」は、「映画」の話です。と言ったら「じゃあスクリーンなんかを使って舞台と映像の融合みたいなのをやるんですか?」と言う人がいましたが、違います。最近、舞台でもさかんに映像が使われてますが、どうも私はそれが馴染めません。勿論、効果的に使われてる場合も多々あるのですが、あんまり意味ないのもあり、とりあえず私は当分の間は使わないだろうと思われます。そんな話をしたら、主宰の久間も同じ意見でした。やっぱり舞台はエンドクレジットじゃなくカーテンコールでしょ、ってな感じで。ちなみに昔観た芝居で、映像でエンドクレジットを流した後にカーテンコールをやっている芝居がありました。欲張りですね。

 やっぱり舞台には舞台の表現があるので、そこを思いっきり工夫していくのが好きなのです。映画のように沢山のシーンの沢山の景色を見せることは出来ませんが、逆に「ここは海か」と言っちまえば、誰が何と言おうと劇場は海に早変わりです。映像には映像の良さ、舞台には舞台の良さがあるので、それを無理矢理融合させることもないと私は思います。歌舞伎の見栄なんかは、映像でいうところのカメラのズーム効果なんじゃないかと思ってます。
映画の過程を描いた物語
…でもありません
 「じゃあ映画を作っている過程を描いた物語ですか」と言う人もいましたが、それも違います。舞台の上にカメラがあって監督がいて、役者(映画の)がいて、しっちゃかめっちゃかな現場…。確かに面白そうな題材ではありますが、今回の劇場は6番シードアトリエ。アトリエとは稽古場のことです。客席わずか40席。当然舞台も狭いです。そんな空間で、映画のロケ現場でレフ板持ってる人がいて…という画がやはりピンとこず、そっち方面の話にするのもやめました。ではどんな「映画」の話なのか。

この物語は「一篇の映画」が完成したところから始まります。その辺りはおいおい語っていくとして(ネタバレするには時期早々)、来週はアトリエ公演とは何ぞや、って辺りを。
2005/6/2