vo10.「東京9区」

19歳矢口愛奈の集中力!
本番二週目、と言っても今回はダブルキャスト。Bキャスト、 矢口愛奈、太田真由美にとっては初日であります。第一週を終えた平日や金曜の昼に稽古をするものの、私とて初日気分は変わりありません。二人共劇団でのキャリアは浅く、抜擢に近いキャスティングを行ったのでした。それゆえに演出家として不安も募ります。本番前の稽古から一週間空いての初日ですから19歳の矢口に至っては、練習してきた芝居を全部忘れてるんじゃないか、大事な小道具(物語のキーとなる手紙など)を忘れて舞台に上がってしまうのではないか、などなど、保護者気分で気が気じゃありません。ところがそんな心配をよそに、19歳は堂々をしたものでした。私は常日頃、本番でガラ変わりする役者は嫌いだ、と稽古中に言いつつも、本番で全く変わらない役者も嫌いだ、と矛盾する二つの言葉を役者にぶつけています。果たして 矢口愛奈は前者でした。今まで稽古で見せたことのない集中力を本番初日で出してきました。軽くムカつきました。稽古でその力を温存してやがったのかと。18歳の女子高生の役を19歳が演じるのですから、うまくいって当たり前なのですが、その本番前の集中している静かなたたずまいに、おじさんちょっと若さへの嫉妬を覚えたのでした。
上は36歳(くらいだったような)の小沢和之から下は19歳の 矢口愛奈まで、なかなかバリエーション豊かなキャスト陣です。二週目を終えてもまだ折り返し。6C史上最多公演数のこの公演、折り返したら演出家はもう家でマンガ読んでてもいいかなと思ってましたが、芝居の難しさはそんな余裕を与えてくれません。役者と一緒に、千秋楽までもがき続ける予感がしています。公演タイトルの意味どおり、「最後の1フィート」まで。

東京9区の候補者の皆様、
来週までよろしくお願いします!
さて表題ですが、本番直前に衝撃的なニュースが飛び込んできました。「解散総選挙」。そう、巷では選挙運動の真っ只中です。それはその選挙期間中に普通の一軒家で公演を行う私達に何を意味するか。
「選挙カーを止めろ!」

そうです。劇場が普通の一軒家なので、選挙カーのマイクパフォーマンスが全部まる聞こえなのです。ラストのしんみりとしたシーンで、
「○○に一票をよろしくお願いします」
なんてアナウンスが聞こえてきたら…。
こりゃ大変だってことで、電話しました。すべての候補者の事務所に。
その甲斐あって、すべての候補者が本番中に劇場前を通過することなく本番を終えました。ありがとう!東京9区の候補者の皆様!来週までよろしくお願いします。 
2005/9/8