2月14日(土)・15日(日)
 
松本陽一

「音の世界」を語る

 現在、稽古場では「6C冬道場」の真っ最中です。平たく言えば体験入団です。その稽古の一環で、先日講義のようなものをやってきました。新しい顔の参加者の方々を前にして、ここはひとつ演出家らしく偉そうにしてみようじゃないか、と勇ましく稽古場の門を開けたのはいいのですが、ここんとこ執筆の為、プチ引きこもりになっていたので、大人数を前にして、「すごく緊張」しちまいました。しかも、「軽いウンチクを語りながら、発声のメカニズムを実際にやりながら体験してもらう」という、あまりにも漠然としたプランしか立ててなかったので、ええっとウンチクは何を言うんだっけ、と、かなり現場対応の講義となりました。挙句にウンチクで盛り上がってしまい、実際に「体験」してもらう時間は10分少々。計画性のなさがまざまざと浮き彫りに。しかしそれはそれ。偉そうにしてれば大丈夫さ、演出家っぽいさ、と自己暗示して乗り切ったのでした。
腹式呼吸の指導

変な儀式じゃありません

それでは参加者の人に悪いなと、今週、朝の発声の時間にその続きをやってみました。発声なんてものは野球の素振りと同じで、いつもコツコツやってないと意味がありません。久しぶりに自分で声を出してみても、例えるなら「錆付いた声」みたいな音が出てきて、継続の重要性を自分の老いた体で実感。「じゃあちょっといい見本をやってみます」といってやってみて、「ごめん、出来なかった」と謝罪する一面も。まったく偉そうではありません。

柔らかい体も、放っておけば硬くなるように、いい発声も放っておくとダメになります。体は硬いわ、声は錆びてるわで、偉そうに講義しながら、自分の怠けっぷりを再確認する場となったのでした。